防犯対策

埼玉県は空き巣被害が全国1位|さいたま市・川口市の賃貸オーナーが今すぐ検討すべき防犯カメラの設置方法

埼玉県内で賃貸経営をされているオーナー様にとって、見過ごせないデータがあります。警察庁の犯罪統計によると、2024年(令和6年)の住宅対象侵入窃盗(空き巣)の発生件数で、埼玉県は1,427件と全国でもっとも多い件数を記録しました。これは「埼玉県は治安が悪い」という単純な話ではなく、賃貸物件を所有・運営するオーナーにとって、防犯対策の優先度を見直すべき具体的な根拠となるデータです。

今回は、埼玉県、特にさいたま市・川口市における侵入窃盗の実態を確認し、なぜ防犯カメラの設置が有効な対策になるのか、そして導入する際にどのような設置方法が効果的なのかを整理していきます。

この記事でわかること

  • 埼玉県・さいたま市・川口市の空き巣被害の実際の統計データ
  • 被害が多い地域に共通する環境的な要因
  • 防犯カメラが侵入抑止に与える効果の根拠
  • 死角を減らすための複数台設置の考え方と具体的な配置方法

埼玉県が空き巣被害「全国1位」である根拠

まず数字を確認しておきましょう。警察庁が公表している犯罪統計書(令和6年の犯罪)によると、住宅対象侵入窃盗の発生件数において、都道府県別で最も多かったのは埼玉県で、2位の愛知県、3位の千葉県を上回っています。この統計は警察が認知した件数を集計したものであり、自治体間の単純な比較が可能な公的データです。

県内の市町村別で見ると、刑法犯認知件数(令和6年確定値)において、もっとも多いのは川口市で4,529件、続いてさいたま市となっています。さいたま市と川口市は人口規模に約2倍の差があるにもかかわらず、刑法犯認知件数では僅差になっているというデータもあり、これは川口市における犯罪発生率の高さを示す重要な指標です。

なぜ埼玉県、特にこの2市で被害が集中するのでしょうか。一戸建て住宅の戸数で見ると埼玉県は全国5位であり、住宅戸数の多さだけでは説明がつきません。指摘されている要因としては、都心へのアクセスが良く人の行き来が多いこと、住宅密集地が広範囲に存在すること、そしてさいたま市・川口市がいずれも東京都に隣接し、交通の便がよいベッドタウンとして発展してきたことなどが挙げられています。どれか一つが決定的な原因と断定できるものではありませんが、複数の要因が重なって被害の集中を招いていると考えられます。

実際に起きている被害の傾向

データだけでなく、実際の被害状況を見ると、対策の方向性がより明確になります。2026年に入ってからも、埼玉県内では就寝中の住人を狙った住居侵入が相次いで発生しています。さいたま市岩槻区では国道16号周辺で連夜のように被害が発生し、行田市・戸田市・熊谷市など県内の広い範囲に被害が広がっている状況が報告されています。手口としては、1階の窓ガラスを割られたり、無施錠の窓から侵入され、現金などが盗まれるケースが確認されています。

春日部市では一晩のうちに5軒以上の一戸建て住宅で、犯人が1階の窓ガラスを割って侵入する被害が報じられ、比企郡鳩山町では一晩で10軒もの住宅が被害に遭い、被害額は137万円以上にのぼったという事例もあります。これらの事例に共通しているのは、いずれも「窓ガラスを割る」「無施錠の窓・勝手口から侵入する」という、特別な技術を必要としない手口であるという点です。つまり、もっとも基本的な防犯対策ができていない物件が、繰り返し標的にされているという実態が見えてきます。

埼玉県警も施錠の徹底や、防犯フィルム・センサーライトなどの対策強化を呼びかけていますが、賃貸オーナーとして考えるべきは、こうした個人の心がけレベルの対策だけでなく、物件全体としての防犯体制をどう構築するかという視点です。

なぜ防犯カメラが有効な対策になるのか

このような状況において、防犯カメラの設置は単なる「気休め」ではなく、データに基づいた合理的な対策だと言えます。防犯カメラを設置することで住宅侵入被害が大幅に減少することが報告されており、特に玄関や窓周りへの設置が効果的とされています。これは以前の記事でも触れた「侵入に5分かかると7割の犯人が諦める」という原則と同じ発想で、防犯カメラの存在そのものが「この物件は手間がかかる、リスクが高い」と犯人に認識させる抑止力として機能するためです。

さらに重要なのは、空き巣被害の多くが「下見」を経て行われるという点です。侵入者は犯行前に対象を観察し、人目につきにくいか、逃げ道が確保できるか、対策にどの程度時間がかかりそうかを確認していると言われています。防犯カメラが設置されている、あるいは「防犯カメラ作動中」のステッカーが見える物件は、この下見の段階で候補から外されやすくなります。つまり、実際の録画機能だけでなく、「見せる防犯」としての効果も大きいということです。

賃貸経営の観点で見れば、これは入居者募集における訴求材料にもなります。埼玉県のように侵入窃盗の発生率が高い地域では、内見時に「防犯カメラが設置されている」という事実そのものが、特に単身女性の入居者にとって重要な安心材料となり、競合物件との比較で優位に立てる要素になります。

1台では足りない——死角を減らすという発想

ここで重要なのが、「防犯カメラを1台設置すれば終わり」ではないという点です。防犯カメラには必ず死角が存在します。カメラの真下や、撮影範囲のすぐ外側、建物の構造によって生じる死角などは、どのカメラにも避けられない弱点です。侵入者はこうした死角を見つけて、そこから犯行に及ぼうとすることもあります。

防犯カメラ1台ではどうしても死角ができてしまう場合、2台以上を設置するのが基本的な考え方です。複数台を設置することで、1台では追いきれない範囲をカバーし、死角そのものを大幅に減らすことができます。専門業者が実践する配置の基本原則として、「交差監視(クロスビュー)」という考え方があります。これは1台のカメラが撮影できない角度を、別のカメラが斜めから補完するように配置する方法で、出入口を正面からだけでなく、横や背後からの動きも記録できるようにする設置の工夫です。

集合住宅における具体的な台数の目安としては、建物の構造や住戸数によって変わるものの、アパートやマンションといった集合住宅では2〜3台程度の設置が一般的な目安とされています。所有する物件の構造によって、優先すべき設置箇所は異なりますが、典型的な配置パターンとしては次のような箇所が挙げられます。

エントランス・共用玄関:すべての入居者・来訪者が通過する場所であり、最も優先度の高い設置箇所です。出入りする人物の顔がはっきり映る高さ・角度に設置することが基本です。

駐車場・駐輪場:人通りが少なく死角になりやすい場所であり、車上荒らしや自転車盗の対策としても効果があります。

共用階段・廊下:特に低層階の共用部や、外部からアクセスしやすい階段の入口付近は、侵入経路として狙われやすい箇所です。

裏口・勝手口・1階の窓周辺:今回ご紹介した埼玉県内の被害事例の多くが、まさにこうした「人目につきにくい開口部」から発生しています。表からは見えにくい裏手にこそ、カメラの設置が必要です。

これらの箇所をそれぞれ単独のカメラでカバーするのではなく、隣接する箇所同士で撮影範囲が重なるように配置することで、死角のない監視体制を構築できます。

カメラの種類と配置のポイント

防犯カメラには大きく分けてボックス型、バレット型、ドーム型といった形状があります。ボックス型やバレット型は存在感があり、それ自体が「防犯カメラが設置されている」という視覚的な抑止効果を発揮します。一方、ドーム型はレンズの向きが分かりづらく、どこを撮影しているか判断しにくいため、「どこから見られているかわからない」という心理的なプレッシャーを侵入者に与える効果があります。建物の規模や予算に応じて、これらを組み合わせて配置するのが実務上のセオリーです。

設置の高さについては、高すぎる位置に設置すると広範囲を撮影できる一方で、人物の顔や手元が不鮮明になりやすいという問題があります。人物の特定が必要な出入口付近では、2.5メートル程度を目安とした高さに設置することが、視認性と防犯効果のバランスを取るうえで現実的とされています。

賃貸物件特有の注意点としては、既存の入居者への事前告知も重要です。新たに防犯カメラを設置する場合は、設置目的や撮影範囲、映像の管理方法について入居者にあらかじめ説明しておくことで、不要な不安や反発を避けることができます。また、撮影範囲が近隣の住宅や敷地に及ぶ場合は、プライバシーへの配慮も欠かせません。

まとめ:データに基づいた防犯投資を

埼玉県、特にさいたま市・川口市における空き巣被害は、決して一部の特殊な事件ではなく、警察庁の公的統計が示す構造的な傾向です。そして実際の被害の多くが、無施錠の窓やガラス破りといった、基本的な防犯の不備を突いたものである以上、対策の効果は十分に期待できます。

防犯カメラは、犯行の証拠を記録するだけの設備ではありません。下見の段階で「狙われにくい物件」と認識させる抑止力としての役割が、実は最も重要な機能です。そしてその効果を最大化するためには、1台だけの設置で満足せず、死角を意識した複数台での配置を検討することが欠かせません。

所有する物件がどの箇所に死角を抱えているか、今のセキュリティ体制で本当に十分なのか——一度、物件全体を歩いて確認してみることをおすすめします。具体的な設置箇所や台数の設計については、物件の構造に応じた個別の診断が有効です。

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