ペット譲渡契約書に入れておくべき重要項目とは?
~トラブルを防ぐための法的ポイントを解説~
ペットの譲渡(里親への引き渡し)は、「善意」で行われるケースが多いものの、
実際にはトラブルが発生しやすい分野でもあります。
「譲渡したのに返してほしいと言われた」
「譲り受けたペットが病気だった」
「避妊手術の約束を守ってもらえなかった」
このような事例は、SNSや里親サイトを通じての譲渡で頻繁に起きています。
それらの多くは、譲渡契約書を交わしていなかった、または内容が不十分だったために生じています。
今回は、ペット譲渡契約書に盛り込むべき重要項目をわかりやすく解説します。
1. 契約の当事者を明確にする
まず大切なのは、譲渡する側(譲渡者)と譲り受ける側(譲受者)を正確に特定することです。
氏名(または法人名) 住所 連絡先(電話番号・メールアドレス) 署名・押印
トラブル防止の基本は、「誰と契約したのか」を明確にすることです。
特に里親募集サイトなどで匿名的なやり取りをした場合、契約書で身元を確認しておくことが信頼関係の第一歩になります。
2. ペットの特定(個体情報)
ペットの種類・特徴・個体識別情報をできるだけ具体的に書きます。
例)
種類:犬(柴犬) 性別:オス 生年月日:2020年5月15日 毛色:赤 マイクロチップ番号:123456789012345 狂犬病予防接種済み(接種日・動物病院名)
マイクロチップ番号を記載しておくと、後日の「この子は誰のものか」という争いを防げます。
近年はマイクロチップ義務化により、譲渡契約書への記載がより重要になりました。
3. 譲渡条件(譲渡料・譲渡方法)
ペットの譲渡が無償か有償かを明記します。
- 無償譲渡の場合:「譲渡料は無償とする」
- 有償譲渡の場合:「譲渡料〇〇円を支払う」「支払方法・期日」
また、引き渡しの方法も書いておきましょう。
(例:「譲渡者の自宅において引き渡し」「譲受者が指定場所まで受け取りに行く」など)
曖昧にしてしまうと、「交通費を請求された」「事前に聞いていた条件と違う」といった問題につながります。
4. 飼育条件・飼養環境の約束
譲渡後の飼育に関する条件は、トラブル防止の核心部分です。
よく使われる項目としては次のようなものがあります。
- 適正な環境(室内飼育・屋外飼育など)で飼うこと
- 飼育放棄・虐待・転売をしないこと 避妊・去勢手術を行うこと
- 医療費や飼育費は譲受者が負担する
- 定期的な報告を求める(写真・健康状態など)
特に、「繁殖目的での譲渡は禁止」「第三者への再譲渡禁止」は必ず入れておくべき重要条項です。
5. 健康状態・医療履歴の明示
譲渡時の健康状態について、できる限り正確に記載しましょう。
後から「知らされていなかった」と主張されると、損害賠償の原因になりかねません。
記載例:
〇〇年〇月〇日現在、健康診断において異常なし ワクチン接種済み(接種日・種類) 持病・疾患の有無 投薬や治療を行っている場合の内容
獣医師の診断書やワクチン証明書の写しを添付しておくと、信頼性が高まります。
6. 契約解除・返還条件
譲渡契約では、「譲渡したら終わり」ではありません。
譲受者が約束を守らない場合に備えて、返還条件(契約解除条項)を設けておくことが大切です。
例)
- 虐待・飼育放棄・転売が判明した場合、譲渡者はペットの返還を求めることができる
- 譲受者が虚偽の申告をした場合、契約を解除できる 飼育困難になった場合は譲渡者に相談すること
こうした条項があるだけで、後々のトラブル対応が格段にスムーズになります。
7. 契約日・署名・押印
最後に、契約日と署名(押印)を入れます。
デジタル契約(電子署名・クラウドサインなど)も有効ですが、紙面契約のほうが感情的にも安心感があります。
また、立会人(第三者)を入れると信頼性がさらに高まります。
8. 添付書類(できれば同封しておく)
- 健康診断書やワクチン証明書のコピー
- 写真(譲渡時の外観)
- マイクロチップ登録証
- 身分証の写し(相互確認のため)
書面の「裏付け資料」を残しておくことで、契約の信頼性が大きく上がります。
まとめ:譲渡契約書は「信頼関係の証」
ペットの譲渡契約書は、単なる「形式的な書類」ではありません。
それは、譲渡者と譲受者がペットの幸せを第一に考えている証拠でもあります。
譲渡時の善意だけに頼らず、
しっかりとした契約書を交わすことで、トラブルを防ぎ、安心してペットを託すことができます。
行政書士など専門家に相談しながら、実情に合った契約書を整えておくことが、信頼関係の醸成につながります。
